平成30年12月1日付で山梨大学人体病理学講座の教授を拝命いたしました。本講座はがんを中心とした病理学研究、医学部における医学教育、病理診断科として病理診断を担っています。
―自らの目でみて自ら考える病理学教育―
病理学とは"病(やまい)の理(ことわり)"を解明する学問であり、学生にとってはヒトの疾患を体系的に学ぶ最初の学問です。講義、実習では形態学を基盤にした古典的な病理学に加えてがんゲノム医療、分子標的治療など先進医療としての病理学についてもカリキュラムに組み入れ、患者の病態から治療までを総体的に解釈する力を育んでいます。
―がんの起源、がんの進化を探求する―
当講座ではヒト悪性腫瘍を対象とした研究を行っています。形態学、分子生物学、先進の情報処理技術を駆使し、がんの発生や進行に関わる分子メカニズムを調べています。特に甲状腺がんに関しては包括的な基礎研究、臨床研究を継続しており、研究拠点として国内外の研究グループと連携しています。
―高水準医療の提供と次世代病理医の育成―
細分類化される腫瘍型、増加する術中迅速診断、分子標的治療の選択など病理医に要求される課題は増加しており、臨床ニーズに応えるべく知識と技術の継続的なブラッシュアップが必要です。また山梨県では病理専門医が減少しており、病理医の育成が喫緊の課題となっています。当講座では高水準の病理診断を提供し、患者様、診療科医師から信頼される病理医の育成に取り組んでいます。
良き講座、良き研究室をつくる上で最も大切なことは教室スタッフにとって講座が仕事でもプライベートでも安心できる環境にあることだと信じています。個人の個性と能力を最大限に理解し、高いモチベーションが維持されるよう講座の舵取りに努めていきたいと思います。
多機能の楽しい講座です。病理学研究、病理診断に興味のある学生、研修医はいつでも講座に遊びに来て下さい。美味しいコーヒーを用意しています。
<当教室の沿革>
山梨大学医学部人体病理学講座(旧山梨医科大学病理学講座第2教室)は1977年(昭和57年)4月1日に開講しました。初代 川生明教授(在任期間 1977.4.1 -2000.3.31。現 名誉教授)は山梨大学における病理学教育の礎を築き、研究面においては免疫組織化学を基盤とした甲状腺病理学研究を確立しました。二代 加藤良平教授(在任期間 2000.6.1 – 2018.3.31。現 名誉教授)は形態学と遺伝子解析を融合し、甲状腺癌の病態解明に新たな展開をもたらしました。また病理医の育成に力を入れ、多数の病理専門医、細胞診専門医を輩出しました。当教室は開講以来40年を超える甲状腺病理学研究の伝統と医療の根幹を支える病理医育成の使命を継承し、現在に至っています。
山梨大学大学院総合研究部人体病理学 教授
山梨大学医学部附属病院 病理診断科 科長
山梨大学医学部附属病院 病理部 部長
近藤哲夫
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